親知らず抜歯時の神経の異常について

今回から知覚の異常についてお伝えします。

顎の骨の中には大きな神経が入ってます。
図でいうと顎の骨の中の白い部分ですが、この神経は枝分かれしてそれぞれの歯の中に入って行きます。
虫歯のときに痛いのはこの神経が感じている痛みです。この神経は最終的には骨の外に出て唇まできてます。

親知らずが低い位置にあると横から見ると重なって見えます。

レントゲンで見ると親知らずと神経は重なって写っているように見えることがあるんですね。
親知らずの根の先は神経と接していることがあって、抜く刺激で神経が異常を起こすことがあります。

この神経は顎の中の親知らずの根のそばを通って前歯に向かって途中で一部が顎の外に出て、唇までつながってます。

この神経は下唇にご飯粒がついたり、よだれが出た時に分かる知覚の神経なんです。

この神経が損傷すると、下唇半分が知覚麻痺を起こすことがあります。

親知らずの抜歯の後に下唇半分が知覚麻痺を起こすことがあるのはこのような理由からです。

九州大学病院顔面口腔外科の報告では2%前後起こっているとのことでした。
(発表の抄録のデータの写りが悪くて申し訳ありません)

この知覚の異常は、多くが数ヶ月で治ってきますが、半年から一年かかる患者さんがいます。
とても不快な症状なので説明なしにこのような合併症が起こったらとても気の毒です。
ですので、神経と根の関係を評価するためにCTを撮影しておりますので、御理解ください。

大学病院の手術で、外科矯正手術(顎を前後左右に移動させる手術)ではほぼ100%出現するし、顎の骨の骨折の手術でも高頻度に出現するのです。
我々にとってはよく遭遇する合併症なのですが、患者さんの理解がなければ、とても不快な思いをさせることになります。
診察時にはこのことについて詳しく説明しております。

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福岡で親知らずの抜歯、ドライマウス、睡眠時無呼吸症候群、口腔がん健診のことならやましろ歯科口腔外科へ。 日本口腔外科学会認定専門医が治療します。

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