引き続き口腔カンジダ症についてご報告いたします。
口の中にはよくわからない痛みがいっぱいあります。
今まで臨床的に原因不明な舌痛症はすべて心因性とかたづけられてきたが、その中にはカンジダ検査で検出されないカンジダ症の多いことも分かってきてるんですね。
飯塚病院の時にはいろんな口腔内の症状に対して細菌検査を行い、データを出しました。
しかし、問題点としてはカンジダは常在菌といって常に口の中にある程度いるということです。
つまり、カンジダを検出したけどカンジダを検出しただけで、その症状はカンジダだけが原因ではないかもしれないということです。
採取診断は抗真菌薬に効くかどうかということ。
また、カンジダを検出してないのにカンジダを検出してないが抗真菌薬で効く症例があるので、論文にしにくいのが現状です。
でもなにかのヒントになるかと思って検査をやりまくりました。
患者さんがこういうのにのっけても問題ないと意思表示をしてくれた症例だけ写真を載せてます。
といってももういまや、どの写真がだれの写真かを特定する手段がなく、患者さん本人も自分の口の中の写真など判別できないような状態です。
今回検査したのはカンジダ症がまったく考えられないアフタ性口内炎、偽膜性口内炎、発赤を伴わない粘膜の疼痛、発赤を伴う粘膜の疼痛に対してです。患者さんは
口腔内が痛いという主訴で来院した患者65名 男性15名、 女性50名 平均69.5±13.3歳(32歳~93歳)でした。
まず対照症例としてのアフタ性口内炎ですが、6名中カンジダを検出した症例はありませんでした。
そして、今回の症例は口腔内に疼痛があるが発赤や白苔等のカンジダ症を疑うような器質的変化がない症例です。
舌苔が多い患者さんでも発赤がなければこのグループに入れてます。
また、最後の写真の症例は発赤はないけどへんな色素沈着がある感じでした。この症例はCandida glabrataが検出されました。
口腔内に発赤のない症例においてほとんどの症例がカンジダを検出しなかったのですが、57%の患者さんが抗真菌薬で改善しました。
(細菌検査でカンジダを検出しなかっただけかもしれない)。
この中には発赤や白苔がなくてもカンジダに起因する疼痛が出現する可能性があるんじゃないかと思いましたがいかがでしょうか。
(正確な数字が出せないことと証明ができないことがカンジダ症の難しいところです。)
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