九州大学病院口腔外科で修行を始めて2年目に、最初にお世話になった開業医のH先生に習ったことは如何に痛くなく麻酔をするかということでした。なるべく痛くないように治療を進めたいと考えていた私にとってとても尊敬できる先生で、とても良いことを教わったと思っています。H先生は患者さんが痛がった時に「どうして痛くするんですか」と怒る先生でした。良い指導を受けたと思います。患者さんは歯科治療に対して恐怖心を持っているから、歯科に通院しないのです。患者さんのためを思えば痛くなく治療して満足して帰って頂くことはとても大切なことだと思います。
痛くなく麻酔をする方法は一般的に
・表面麻酔を使用する
・ゆっくり麻酔液を注入する
・体温に近い麻酔液を使用する
この3点だと思います。これらの知識は歯科医師誰もが知っていることです。
H先生には表面麻酔を使用しなくても針を刺す時に痛くない方法を教わりました。
皮膚でも粘膜でも針を刺す時が一番痛みを感じて刺した後は針を動かしてもあまり痛くないという事でした。確かに、採血・点滴をするときはその通りです。ですので、針を刺す時間が短ければそれだけ痛みを感じにくいという事でした。では、針を刺す時間を短くするためにはどうすればよいのでしょうか。それには3つのポイントがあります。まず、「粘膜に垂直に針を刺すこと」、そして「粘膜を引っ張って緊張させること」、最後に「針は固定して粘膜を勢いよく動かすこと」です。最後のポイントは粘膜を動かすことでごまかすという意味合いもあるのでしょう。
この3点を実践することで教わった直後から表面麻酔をしなくても、針を刺す時の痛みはコントロールすることができるようになったのです。動かない粘膜に対してはどうするのですか??とか痛くなく治療をする技いくつかありますが、その話はまたいつか・・・
イラストは私の仲間のイラストです。
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