医療従事者にはおなじみの耐性菌の話ですが、一般の方は御存知でしょうか?。
細菌を殺す薬のことを抗菌薬や抗生物質といいますが、細菌もそんな簡単に殺されては困ると進化しているといわれており、この進化した抗菌薬に効かなくなった細菌が耐性菌です、って言ってたんです。
しかし、実は耐性菌はむか~しからいたのです。
1929年Fleming先生は,アオカビ族のPenicilliumが抗菌物質(ペニシリン,PCG)を産生することを発見し、報告しました。
この時すでにPCGの効かない菌B. coli(現在の大腸菌E. coli?)が存在することも報告していました。つまり、最初からペニシリンに効かない菌がいたのです。
Florey先生とChain先生は1940年動物感染実験とヒトでPCGの劇的な効果を証明しました.ここまで11年かかったのです。この発見のおかげで第二次世界大戦でもペニシリンは大きく活躍しました.これが抗菌薬の始まりですが、この時点で抗菌薬に効かない菌がいたのです。
{耐性菌に関する基礎研究の歴史と今後の展望 日本臨床 59巻4号(2001-4)、
Abraham EP, et al. : An enzyme from bacteria able to destroy penicillin. Nature 1940;3713: 837}
その後、広い範囲の菌に効く抗菌薬が開発されて、数十年で抗菌薬の発展は著しいものでした。1961年にはメチシリンが効かないMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が英国で最初に報告されました。
広い範囲で効く抗菌薬が開発されても、その抗菌薬に効かない菌が出現したり、いたちごっこが繰り返されました。現在は抗菌薬に効かない菌が増えないようにさまざまな工夫が去れるようになってきましたが、この問題はなかなか解決されません。今回は耐性菌の歴史についてでしたが、耐性菌の増殖についてはそのうちですね。


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