歯科医院で患者さんに胃薬出せますか?といわれることがあります。我々歯科医師が胃薬を出すと保険で怒られることがあるので、市販の胃薬を使ってくださいということがありますが、どのような胃腸薬が、鎮痛剤によってできる胃潰瘍の予防として適当なのでしょうか?
まず、胃潰瘍について少し・・・
胃の中は酸性になってます。
胃粘膜に傷が付いた場合に、そこが酸性だと傷が治らず潰瘍となります。
しかし、酸性である胃は胃潰瘍を起こしににくい、または治しやすいシステムがあるのです。
それが、粘液重炭酸関門といい、胃粘膜表面にはゲルが覆っていて、その中の重炭酸が産生を中性近くに変化させているのです。
血液に乗ってきた鎮痛剤成分は、血流を悪くする性質があったり、粘液や重炭酸の分泌を抑制する働きがあるため、この粘液重炭酸関門を壊してしまうのです。これが胃潰瘍になりやすくする理由です。
だから、胃潰瘍になりにくくするためには、胃酸分泌を抑制するか、胃粘膜を保護する薬を飲むことってことになります。
どんな薬があるのでしょうか??
日本消化器病学会編集による消化性潰瘍診療ガイドライン〈2015〉によれば、最も適当な薬はPPI(プロトンポンプインヒビター)とPG製剤であるが、これは歯科医師が出せる薬剤ではなく、市販薬もありません。市販してる薬剤で、学会が推奨している薬剤はH2ブロッカーと言われている。H2ブロッカーは胃酸分泌を抑制するが、飲み過ぎはやはりよくないようである。ガスター10は2週間以上飲まないように注意がされてます。ガスター10は意外とドラッグストアに置いてないことが多いです。そんな場合には胃潰瘍の治癒後の維持療法として記載がある胃粘膜保護をするというスクラルファートがいいようです。薬局ではセルベールという薬が勧められているようです。セルベールは論文でも取り上げられています。(遠藤徹ら:NSAID誘発胃粘膜障害に対する防御因子増強剤(テプレノン)の予防効果、臨牀と研究、70、2957~2963,1993)。
胃薬は何でもいいというわけではないと思います。
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