妊娠中の薬1

妊婦さんが受診したときの薬ってどうすればいいのでしょうか。

今回から4回に分けて妊娠中の歯科との関わりということで記事を載せます。

最近では産婦人科の先生方も普通に抗菌薬を出しますよね。われわれは何を根拠に投薬をすればよいのでしょうか。

世界の妊娠中の薬剤の危険度評価の基準は、主に以下の4つがあります。

1.添付文書:国内医療用医薬品の添付文書

2.FDA薬剤胎児危険度分類基準:米国 FDA(G.G.Briggs)

3.オーストラリア基準(Drug in Pregnancy and Lactation):オーストラリア医薬品評価委員会・先天性異常部会

4.虎ノ門病院の基準:虎ノ門病院 「妊娠と薬相談外来」

また、2014年に出た産婦人科診療ガイドラインというのがあり、そのガイドラインも参考にしていきましょう。

詳しくは http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2014.pdf をご覧ください。

また、産科と婦人科という雑誌の2008年11号に「妊婦授乳婦の抗菌薬のつかい方」という記事にわかりやすく載ってます。呼んでみたい方は御連絡ください。

薬剤の影響は妊娠後の胎児の時期によって異なっており、ガイドラインには次のように書かれてます。

今回は時期によって異なる薬剤の胎児への影響について書くことにします。

奇形という観点で次のように書かれてます。

1.まず、受精から2週間は奇形を引き起こさない。妊娠3週末までに受けたダメージは流産を引き起こすか、生き延びた場合には修復されて奇形を起こさない。

つまり、薬の影響を受けたら流産になるし、影響をうけなかったら奇形をおこさずに順調にうまれる。どちらかということですね。

2.妊娠4週以降6週末は医薬品に対する感受性が高い時期だが、奇形を引き起こすと報告された薬は比較的少ない。

3.妊娠8週以降12週末は大奇形はないが小奇形は起こしうるが、わずかである。

4.妊娠13週以降は奇形を起こさないが胎児機能障害をおこす薬品がわずかにある。

このように書いてありますが、このわずかにある薬品を確認しておけばそれ以外は奇形という点では普通に投与してよいという解釈になります。

母親に投与された薬剤の大部分は胎盤を通過するので、薬剤の母体の血中濃度と胎児の血中濃度は同じといわれてます。特にペニシリン系とセフェム系の抗菌薬はよく胎盤を通過するそうです。ですので、投与しなくても大丈夫か投与しなければ症状が悪化するのかということをよく考えて処方するか、否かを考える必要があります。抗菌薬を出ししぶると、感染がひどくなって、抗菌薬の投与量が増える可能性がありますので、しっかり診断して治療を選択することが重要です。

治療に必要な薬剤について悩むよりも、タバコの害を理解して排除するほうが大事な気がします。

それぞれの具体的な薬については次回ですね。

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