前回下顎骨の解剖で、下顎枝と下顎体との関係が重要ではないかというお話をしました。
前回提示した症例の3D写真を示します。前回は右側だけを示して、「十分な下顎体の成長が下顎智歯の正常な萌出を促す可能性がある」と思わせるような書き方をしたのですが、実は、反対側を見ると近心傾斜をしており、正常な萌出ができていないのです。
次の症例は20代前半の患者ですが、これだけをみると、下顎体の成長が足りないため水平埋伏になっているようにみえます。
しかし、次の症例をみると、右下第二大臼歯の後方に骨が形成されておらず、第二大臼歯遠心の外側に下顎智歯が埋伏しています。左側は第二大臼歯の遠心に骨が形成され、その部分の歯列の延長上に下顎智歯が水平に埋伏しています。
これは、延長した下顎体に下顎智歯が埋伏していると考えるよりも、下顎智歯の向かった所に骨が形成されたと解釈した方がいいような気がします。
もちろん、下顎骨の延長が正常な萌出に影響することは間違いないとおもいますが、下顎体の成長と下顎枝の位置のバランスなど、萌出障害にはほかのさまざまな因子が影響しているように思います。
萌出障害の原因を私が考えていても結論が出ないことは目に見えてますので、今回はこれぐらいにして、次回より下顎枝や下顎体と、下顎智歯の関係を調べて、難易度を検討したいと思います。
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