骨性埋伏智歯抜歯について

いままで、骨性埋伏智歯の特徴についてお話をしてきました。今回は前回までの骨性埋伏智歯の特徴を考えながら抜歯のコツについてお話ししたいと思います。

埋伏智歯の抜歯をスムーズにするためには歯の位置や方向の把握が必要です。まず、十分な歯冠の明示ができなければ歯冠と歯根に分割することはできません。そこで、私は一つの目印に注目しました。それは、先日までお話ししていた7遠心にみられる骨欠損です。この骨欠損は8歯冠まで連続しているので、8歯冠の深さや位置が把握しやすいのです。骨欠損の形態の把握も必要ですね。骨欠損部よりも舌側には歯はないと思ってください。ですので、切開線のスタートはこの骨欠損部があるところにする必要があると思います。骨欠損は麻酔の時に注射針で探せますね。舌側を攻めすぎて舌神経には注意しましょう。この骨欠損部から外側に切削をはじめます。遠心に向かうと無駄なところを削りすぎますので、注意が必要です。

歯を覆う骨に厚みがあると、歯を発見するまで本当に歯があるのか不安な気持ちになります。一部でも歯が見つかると骨切削のスピードが速くなります。

8の歯冠は7よりも外側にありますので、7の後方の歯根を目指してコツを削っていくと、8の歯冠が先に出てきます。だいぶ前まで削っても大丈夫ですし、だいぶ前まで削らないと歯冠がうまく取れません。特に、歯冠が根に癒着している場合には歯冠が取れないことがあるので、しっかり明示してほしいところです。中途半端な状態で歯冠と根に分割してもうまくいきません。

歯冠がうまく取れない場合には歯根からとるようにしてもいいと思います。途中でCTを撮影して下顎管の位置や現在の状況を確認できると手が早くなりますね。

 

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