カムテクトで扁平苔鮮のコントロール

一年以上前に口腔扁平苔鮮のある患者さんが「この歯みがき粉を使ったら、ザラザラが減ってきましたよ」と話しをされました。

ザラザラというのは痛くない口腔扁平苔鮮の一部分です。この歯みがき粉はグミクソスミスクラインの「カムテクト」でした。

まさか、そんな~と思いながら、他の口腔扁平苔鮮の患者さんに試供品を渡したのですが、この患者さんからも扁平苔鮮が減った、と聞きました。

今回はこのカムテクトの話です。

カムテクトにはどんな薬剤が入ってるのだろうと調べてみると、エクストラファインパウダー(炭酸水素ナトリウム;清掃剤)約70%配合で歯垢を除去、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)がバクテリアを殺菌、グリチルリチン酸モノアンモニウム(MAG)が炎症を抑え、歯周病を予防、フッ素(フッ化ナトリウム)が歯を強すると記載されています。

私はこの中のグリチルリチン酸モノアンモニウム(MAG)に注目してみました。

グリチルリチン酸モノアンモニウム(MAG)はもともと漢方薬に入っている甘草に含まれる成分で、肝臓の薬であるグリチロン錠や強ネオミノファーゲンシー等の以前大学病院の病棟で使用していた薬剤の成分でした。この薬剤の添付文書の効能・効果の欄の最後に口内炎という記載があるのです。おそらく、この成分が口腔粘膜炎に効果があるということで、記載が認められているのでしょう。

最近半夏瀉心湯という漢方薬がひどい口内炎によく効くとの情報があり、時々使用しているのですが、この漢方薬の中にも甘草(グリチルリチン酸モノアンモニウム)が入っているのです。

証明されているわけではありませんが、おそらく、このグリチルリチン酸モノアンモニウムが扁平苔鮮の症状を和らげるのだろうと私は思っています。

この評価方法で、5以下になるのは結構効果がある感じなのです。

Facebookには出ませんが、ブログにカムテクト開始した時の写真と1か月後の写真を示します。なんとなく赤い部分が減ったような気がしませんか?

もしかしたら、高齢者に多い口腔粘膜炎もこの歯みがき粉である程度制御できるのかもしれません。

ということで、当院では強い症状がある症例、広い範囲で拡がる症例に対してはステロイド含嗽で、狭い範囲で症状が少ない場合にはステロイド軟こうで、症状が落ち着いたらカムテクトで経過観察をする方針でいきたいと思ってます。

扁平苔癬に対してステロイド長期使用したら、口腔カンジダ症が発症しますので、ステロイドを短期的に使用してある程度痛みをとって、カムテクトで維持できればいいな~って思ってます。

歯みがき粉だけで口腔扁平苔癬が悪化しなければ素晴らしいと思いませんか?

 

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