麻酔をした時の体の反応

歯科医師は抜歯をしようと2%キシロカイン(含アドレナリン)で麻酔をした時に「ドキドキするんですけど」と言われて「麻酔薬にドキドキする薬が入ってますので、大丈夫です。」と答えたことがあると思います。このドキドキは麻酔薬の影響でしょうか、緊張によるものでしょうか?今回はこのことについて考えて見ます。

まず、実際歯肉に麻酔した麻酔液がどれくらい時間をかけて血中を通って全身へ巡るのかを考えてみます。
局所麻酔直後のバイタルサインや血中アドレナリン濃度の変化を論文的にどのよに書いているか見ていきます。
が、その前に薬剤の薬物動態について確認したいと思います。
薬を投与する時に経口投与(飲み薬を胃や腸で吸収する方法)のほかに静脈注射、筋肉注射、皮下注射そして舌下投与・経直腸投与等の経粘膜投与があり、薬剤が全身を巡るまでのスピードは静脈注射、筋肉注射、皮下注射の順に早いと言われております。
舌下投与や座薬は比較的吸収が速く、筋肉注射程度の速さで吸収されるそうです。
実際にどのくらいのスピードで効果がでるかはこちらです。

ニトログリセリンは狭心症の発作時の緊急薬ですが、粘膜吸収をすると心臓まで到達するのに1~2分で薬効を発現するようです。筋肉注射も薬の効果の発現が早いと言われております。

このようなことから、血流の多い歯肉に麻酔をしたときに麻酔液に含まれるアドレナリンが全身に数分で巡ることはありうることで、麻酔後の血中アドレナリン濃度と血圧、脈拍を測定した報告についてまとめました。

どういうことかというと、歯肉に麻酔した後にアドレナリンの血中濃度が何分でピークになるか、脈拍・血圧がどうなるかを表にしました。

2%リドカイン(含Epi)の局所麻酔において、血漿アドレナリン濃度のピークの多くは麻酔3分から5分後の報告が多いです。心拍数は変わらないとの報告もあるが、上昇するとの報告が最も多い、拡張期血圧は変わらないとの報告もあるが、低下するとの報告が最も多い、収縮期血圧は低下するとの報告もあるが、変わらないとの報告が最も多いということでした。

経験的には麻酔して心臓がバクバクしても数分したら落ち着きます。

次は心疾患の患者における局所麻酔時の変化です。

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