先日口腔外科学会の総会出席のため千葉の幕張に行ってきました。

口腔領域の抗菌薬の使い方について勉強してきましたことをご報告いたします。

以前もお伝えしたと思いますが、2000年に入る少し前から多くの種類の抗菌薬が出現して、世代の新しい抗菌薬を使う傾向になってきました。そのころは世代の新しい抗菌薬が強い抗菌薬だと勘違いして使っていましたが、本当は効果がある菌の範囲が違うだけで、強いか弱いかはそれぞれ特徴が異なるという事でした。

最近の考え方は歯性感染に関係ない菌に対する抗菌力は必要ないのではないかということです。尿路感染で出てくる起炎菌に対する抗菌力は必要ないですよね。

そのような考えの中で現在のJAID/JSC 感染症治療ガイドライン2016の歯性感染症には以下のように記載されております。

 1 群〔歯周組織炎〕:歯髄感染から起こる根尖性歯周組織炎と辺縁性歯周組織炎(歯槽膿漏)がある.これらが原 因となり,歯肉膿瘍,歯槽膿瘍,口蓋膿瘍などを形成する.

 2 群〔歯冠周囲炎〕:主に埋伏智歯が原因である.埋伏智歯の歯冠周囲に,発赤,腫脹,排膿が認められる.膿瘍 が形成されることは少ない.歯冠周囲炎が原因で顎炎,蜂巣炎に炎症が進展することがある.炎症が顎骨周囲の隙 に波及すると開口障害,嚥下痛が認められる.

1 群または 2 群(軽症から中等症) 膿瘍を形成している症例では切開などの消炎処置を行い,

1.第一選択経口薬

・AMPC(amoxicillin)

ペニシリンアレルギーがある場合は,

・CLDM(clindamycin)

・AZM(小児は歯科適応なし)

・CAM(clarithromycin)

  1. 第二選択経口薬炎症の進行期でペニシリン系薬およびセフェム系薬の効果が認められない時は β- ラクタマーゼ産生菌種を考慮 し,

・STFX

・FRPM

となってます。

さらに、

顎骨周囲の蜂巣炎,頸部膿瘍などの重症歯性感染症では,β- ラクタマーゼ産生嫌気性菌に注意が必要である. 顎骨炎など症状の増悪が予想される症例では,

 ・SBTPC(sultamicillin)*‌社会保険診療報酬支払基金審査情報では原則として SBTPC を手術創などの二次感染,顎炎,顎骨周囲の蜂巣 炎に処方した場合,当該使用事例を審査上認める.

・CVA/AMPC

・AMPC

・CLDM

・CCL(cefaclor)

・STFX(sitafloxacin)

となってます。

今回の情報として4月からオーグメンチンCVA/AMPCが適応外使用だが、保険で認められるとの事です。この薬は歯性感染の起炎菌に対して十分な範囲で、余分な菌に対する咬筋力はあまりない良い薬と考えられ、耐性菌を出さない抗菌薬として歯性感染に適切な抗菌薬と思います。歯性感染でペニシリンに耐性をもつ嫌気性菌の感染が予想される場合にはこの抗菌薬を使いたいと思います。手術前の予防投与にはサワシリンがベストだと思います。

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やましろ歯科口腔外科 院長 山城
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