妊娠中の薬について
今回は抗菌薬についてお話します。
歯科で使用する抗菌薬はほとんどがペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、ニューキノロン系、リンコマイシン系のいずれかだと思います。正しい抗菌薬の使用法についてはさまざまな議論があると思いますが、その話は違う場でするとして、妊娠中のこれらの投与の是非について書きます。
ペニシリン系とセフェム系は妊娠全期にわたって安全に使用できる抗菌薬です。マクロライド系抗菌薬の中でエリスロマイシンは妊娠中胎児に安全に使用できるという記載があります。残念ながら、使用頻度の比較的多いジスロマックやクラリスについての記載を見つけることはできませんでした。ニューキノロン系抗菌薬はすべて添付文書上禁忌とされていますが、クラビットは妊婦に使用できる薬として挙げられているとの記載があります。リンコマイシン系抗菌薬は催奇形性や胎児毒性の報告はないとの記載があります。(妊婦授乳婦の抗菌薬のつかい方:産科と婦人科2008年11号 P1517)
前回も書きましたが、抗菌薬を投与しなかった場合に感染がひどくなって投与量が増えるのであれば、抗菌薬の投与を躊躇せずに処方すべきだと思いますが、患者さんに納得させることができるかどうかが重要な問題になると思います。いかに鎮痛剤と抗菌薬の投与してよい期間とそうでない期間を図に表しました。
妊娠中に癌がわかった場合に治療をどのようにするのか、転んで骨折した場合に治療をどうするのか、親知らずが腫れた場合にどのようにするのか。課題山積みですが、患者さんとよく相談した上で治療方針を決定するのが良いですね。
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