循環器疾患の評価
心疾患の既往がある患者が来院した時、患者の状態を把握して、自分で管理できるか否かを判断できることと、治療における注意点を理解しておくことが重要です。また、そのために、我々が診療するときにどのように評価をすべきかの道しるべがないと困ると思います。
現在の循環器疾患の評価ってどのように推奨されてるのでしょうか。
患者評価の手順
我々が行う歯科手術を含めた非心臓手術の術前における循環器疾患の評価と周術期管理のガイドラインが2014年に発表されました。最低限度の注意をおろそかにすると、循環器内科専門医が手術は問題ないと回答した場合であっても、術者が責任を負うことになります。このガイドラインはある程度の循環器疾患の知識をもった医師対象のものであることを忘れてはいけませんが、参考になると思います。
膿瘍切開以外の歯科手術のほとんどが緊急手術ではありません。重症度が高い心臓の状態ってどんな状態でしょうか?
それが下の図です。
難しいですね。
歯科の手術のリスクレベルはどのように位置づけられているのでしょうか?
患者が重傷度の高い心臓の状態でない場合は、歯科手術は低リスク手術であるため循環器内科医の評価は必ずしも必要でないといえます。
しかし、基本的な患者さんの全身の状態の把握は必要です。糖尿病や高血圧のコントロール状況や喫煙等・・・そのほかにも日常生活でどんな運動をしているのかとか。
患者さんの全身状態を聞いて、どれだけ心臓発作が起こりやすいかを評価するための表が下の表です。
日常生活の運動を分類して評価をすればよいのですが、その分類が下の表です。
4METs以上の運動が出来るのであれば中リスク以上の手術でも比較的侵襲に耐えることができると判断されている。
ということで、以下のようなことを聞きましょう
- 狭心症,心筋梗塞の既往:とくに最近6 か月以内の心筋梗塞
- 息切れ,胸痛,動悸などの症状の有無
- 日常生活の活動度:
日常の活動をどの程度行えるかという評価はきわめて重要である.無症状で4 METs(metabolic equivalents)以上の運動を行っている場合には,それ以上の検査を行うことは無意味なことが多い.4 METs の運動とは,1 階から3 階まで歩いて上がる,床の拭き掃除をする,カートを使用しないゴルフ,ダブルスのテニス,毎日のランニングなどである.
- リスク因子の有無:喫煙,アルコール,肥満,高血圧,糖尿病の有無、閉塞性・拘束性呼吸器疾患の有無
歯科治療は基本的に低侵襲手術に分類されますので、コントロールの良い心疾患の患者さんは基本的には専門的な評価は必要ないということです。


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