前回は親知らずがどのような埋まり方をしているかを調べました。
今回は親知らずのどれくらいの割合で虫歯や歯周病が発生するかを調べてみました。
紹介患者は何かしらのトラブルを抱えてきているので、当然偏りが生じます。もちろん、歯科診療所にくる患者さんは口のトラブルがあっていらっしゃいますので、世間一般にどれくらいの割合で虫歯や歯周病が発生するのかを調べることはできませんが、歯科医院に来る患者さんのなかで、親知らずのどれくらいの割合で虫歯や歯周病が発生するかを調べるために、紹介患者の親知らず937症例1596側を除く1410症例2315側についてしらべました。歯根が十分にできていない歯は除きました。
調べた項目は①7遠心がう蝕
②親知らずがう蝕
③親知らずがC4
④親知らずと7の間が歯周病で骨吸収
⑤親知らずがPかCでトラブル
⑥親知らずがう蝕の修復後
⑦親知らずがブリッジの支台です。
親知らずに虫歯ができたら抜いちゃえばいいや~ってなりますが、7遠心がう蝕になるとかなりこの歯の寿命が短くなると患者さんにはお話しします。ここに虫歯ができるのはどれくらいの割合でしょうか?①7遠心がう蝕は3.8%、②8がう蝕は6.7%でした。思ったより少ないと思いました。
③8がC4は1.2%でした。思ったよりも多いと思いました。こんなに放置してるんですね。
④8と7の間が歯周病で骨吸収を認めたのが21.3%。歯周病で骨吸収が起こっても、症状が少ないので放置することが多いのでしょうね。この部分が感染して顎の下まで腫れてくると大変なことになりますので、注意が必要です。
⑤8が虫歯か歯周病でトラブルがあるのが27.7%でした。①②③④をまとめて何かしら親知らずを残しておくことでトラブルになるのは全体の4分の1以上でした。
⑥8がう蝕の修復後で、保存しているのが6.5%でした。抜歯を選択せずに修復して機能させてる親知らずのことですね。
⑦8がブリッジの支台として機能しているのが1.8%でした。ブリッジの支台にしてるってことは、抜かなくてよかってねってことで、そんな親知らずが1.8%でしたということでした。
この中には紹介ではなく、親知らずの相談に来た患者さんも含みますので、親知らずにトラブルがある患者さんの割合はもう少し少ないと思います。しかし、当院に来院された親知らず抜歯の紹介の患者さん以外の患者さんにはこれだけのトラブルがみられました。(親知らずが両方ともない患者さんは含まれておりません)
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