抜歯等治療によっておこる下唇の知覚異常や外傷によっておこる下唇の知覚異常は原因が分かりやすいのですが、今回はそれ以外の下唇の知覚異常の原因疾患について考えてみます。
下唇の知覚異常の多くは下歯槽神経の周囲の病変が原因です。
その病変は炎症か腫瘍か外傷です。外傷とは抜歯による外傷や骨折などです。
下顎の中に炎症が起こると下唇の知覚異常が起こりやすいです。この場合の炎症は生命を脅かすことは少ないですが、悪性腫瘍も下顎骨内に発生して下唇の知覚異常を起こします。
どのような悪性腫瘍があるかというと、主に下顎骨内に初発する腫瘍だけでなく、肝臓や肺等の全然遠い部位に発生する腫瘍の転移によるもの、血液腫瘍も顎の中に浸潤すると下唇の知覚異常が起こるのです。
表に論文発表についてまとめたのでご覧ください。
この表は2011年に報告した論文にまとめた表です。もうあれから7年以上経っているので、もっとさまざまな報告があるかもしれません。
歯科用レントゲンでも、CTでも異常所見がない症例が比較的多いことに驚きます。
ですので、炎症もなく、外科処置後でもない場合に下唇のしびれが出た場合には、歯科用レントゲンで異常がなさそうでも総合病院でCTやMRI・血液検査をすることが大事だと思います。
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