歯堤と歯導帯

下顎智歯の位置や方向を考えるときに智歯の発生が重要であるというお話をしました。この発生のどの部分が重要なのでしょうか。

私は発生時の歯提の部分がとても重要だと考えています。下顎智歯の歯胚は第2大臼歯歯堤から上皮が伸びてきて智歯の歯提を形成し、歯胚が作られます。この歯提は退縮し、その上皮の塊が一部残存した結合組織が形成されます。この結合組織は歯胚から歯肉上皮まで連続しており、管状の骨欠損を形成しています。この上皮塊を含む結合組織を歯導帯といい、歯導帯を含む管状の構造物を歯導管といいます。

この歯導帯は形成された歯の萌出を誘導する道筋になると考えられてます。この歯導帯は先行する乳歯がある場合にはその歯嚢から下顎は舌側歯槽頂方向へ、上顎は口蓋側歯槽頂方向に向かい、歯肉粘膜に連続しています。

次に示すのは犬歯、小臼歯にみられる歯導帯です。先行する乳歯の舌側に管状の骨欠損を認めます。永久歯はこの骨欠損に向かって萌出しようとすると考えられています。

下顎智歯の歯胚にも第2大臼歯の遠心舌側に向かう管状の骨欠損をみとめます。

歯導帯が歯の萌出を誘導するのであれば、下顎智歯は歯列の外側の下顎枝内から第2大臼歯遠心舌側方向に歯冠を向けて萌出を開始するんだろうと予想されます。

 

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