水平埋伏の親知らずの難易度評価

去年親知らずの難易度を評価するために、抜歯時間や術式を統計にしたと思いますが、これはまっすぐの埋伏歯も水平埋伏もごちゃまぜでした。水平埋伏とまっすぐの埋伏は抜歯の仕方が異なりますし、時間も変わりますので、今回は水平埋伏の親知らずだけで統計をとってみました。

水平埋伏の親知らずの抜歯の難易度を考えた時に年齢はとても大きな要素です。どれくらいの年齢で抜歯が難しくなるかを考えていきたいと思います。

まず、水平埋伏の親知らず抜歯の術式です。水平埋伏の親知らずは7遠心に引っかかっておりますので、歯冠を明示した後、歯冠と歯根に分割して別々に抜去します。しかしながら、根が弯曲したり、癒着していると根を分割したり、ヘーベルを挿入するためのグルーブを形成する必要があります。今回はこの歯根分割やグルーブ形成という一手間が必要であったか否かで、難易度を評価したいと思います。

 

智歯の深さも難易度に大きく影響する要素ですので深さについて示します。20代に2A症例が多く、3C症例が少ないことが特徴です。

さて、20代前半に歯根分割が必要になった症例が少なかったのに対し、20代後半には半々、30台になると歯根分割が必要な症例が多くなります。(縦軸は人数です)

グルーブ形成も同様です。20代前半にグルーブ形成が必要になった症例が少なかったのに対し、20代後半には半々、30台になるとグルーブ形成が必要な症例が多くなります。(縦軸は人数です)

 

さらに細かい年齢別にみていきたいと思います。23歳までは根を分割せずに抜歯ができたのに、24歳を超えると根の分割が必要な症例が増えてくることがわかります。

グルーブ形成も同様です。23歳まではグルーブ形成が必要な症例が少なかったのに、24歳を超えるとグルーブ形成が必要な症例が増えてきました。

このように、24歳を超えると抜歯における手間が増えてくることがわかりました。術者に手間がかかるということは、患者さんの負担も増えてくると理解できると思います。

2根の歯と1根の歯で根の分割が必要か否かが変わってきそうな気がしますね。そのあたりの抜歯時の歯の所見については次回にしたいと思います。

 

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福岡で親知らずの抜歯、ドライマウス、睡眠時無呼吸症候群、口腔がん健診のことならやましろ歯科口腔外科へ。 日本口腔外科学会認定専門医が治療します。

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